キャッシュレス決済にはどのようなものがあるの?
「キャッシュレス決済」とは、現金以外の様々な決済手段の総称です。「キャッシュレス決済」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどのような決済手段があるのかは詳しく知らない…という方も多いのではないでしょうか。
まずは「キャッシュレス決済」に含まれる決済手段について、2022年の決済利用支出割合が多い順にご紹介します。
2022年の決済利用支出割合…キャッシュレス決済金額全体に占める各キャッシュレス決済手段の割合を算出しています。
※出典…2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
1位:クレジットカード決済(84.5%)
クレジットカードは、日本で最も決済金額が多いキャッシュレス決済手段です。
クレジットカード決済の歴史は古く、日本では1961年から利用されています。クレジットカードの決済金額は年々増加しており、2022年のキャッシュレス決済利用支出のうち、約85%がクレジットカード決済によるものです。
また日本人のクレジットカード平均所有枚数は2.9枚(※)となっており、決済する場所やポイントの有無などにより複数のクレジットカードを使い分けている人も多くいます。
クレジットカードの種類には、ICチップ、磁気ストライプ、タッチ決済の3種類があり、最近は端末にかざすだけで決済ができるタッチ決済の利用も増えています。
2位:コード決済(7.1%)
1位のクレジットカードとは大きく差が開いてはいますが、近年利用者が増加しているのがコード決済です。
コード決済とは、バーコードやQRコード(※)をスマートフォンで読み取って決済する決済手段のことを言います。
利用者がQRコードを読み取って決済金額を入力する「ユーザースキャン方式」と、店舗側が利用者のスマートフォン画面に表示されたバーコードを読み取って会計する「ストアスキャン方式」の二種類の決済方法があります。
主なコード決済としては、PayPay、LINE Pay、楽天Pay、メルペイ、d払い、au PAY等があげられます。
3位:電子マネー(5.5%)
コード決済についで利用されているのが電子マネーです。
電子マネーとは現金の代わりに使える、電子データ化されたお金のことを指します。プリペイド式でカードに現金をチャージできるものや、スマートフォンにカード自体を取り込んで利用できるものなど様々な種類があります。
事前に現金をチャージして 利用する電子マネー | ・Suica、PASMO等の 交通系電子マネー ・楽天Edy ・nanaco ・Waon など |
クレジットカードと 紐づけて利用する電子マネー | ・iD ・Quick Pay など |
どちらの電子マネーも、基本的には同一の決済端末で決済することが可能です。
4位:デビットカード(2.9%)
最も利用率が低いのがデビットカードとなっています。
クレジットカードはカード会社が立替を行い、後から利用者に料金を請求するのに対し、デビットカードは利用と同時に銀行口座から料金が引き落とされます。
国際ブランド付きのデビットカードも発行されていますので、クレジットカードと同じ使い方をすることが可能です。
また、決済方法もクレジットカードと同じですので、特別な決済端末を用意する必要もありません。
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店舗にキャッシュレス決済を導入するメリットは?
「うちは現金しか使えないけれど、クレジットカード決済を導入しようか迷っている」
「クレジットカード決済以外の決済手段も取り入れたほうがいいのだろうか…」
などのお悩みを抱えているオーナー様も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、キャッシュレス決済を導入するメリットをご紹介します。
客単価が上がりやすい
キャッシュレス決済は、現金の持ち合わせがなくても支払いができるのが大きなメリットです。現金決済だと「持ち合わせが少ないから今回はこれだけ買おう」となってしまうようなシーンでも、「キャッシュレス決済が使えるなら、これとこれを買おう」というような顧客心理になりやすいです。
また、クレジットカードであれば分割払いやリボ払いといった翌月以降に分けて支払う手段もあるため、利用者の客単価が上がりやすいと予測されます。
電子マネーやコード決済も、チャージが足りなければスマートフォンですぐに残高をチャージして利用できるので便利です。
現金管理の手間が減る
現金決済のみを取り扱っている店舗の方は、銀行への現金の入金やお釣りの用意が手間と感じている方も多いのではないでしょうか。銀行が営業している時間は限られているため、営業時間中に従業員が銀行に行かなければならないとなると、特に少人数で営業している店舗は大変ですよね。
キャッシュレス決済を主な決済手段とし、キャッシュレス決済利用者の割合が増えていくと現金管理にかかる時間も削減できるので、より店内の運営に集中することができます。
海外からの観光客への対応
新型コロナウイルスの流行も一時期より落ち着き、日本にも外国人観光客の姿が目立つようになりました。
外国人観光客の特徴といえば、やはり主な支払い手段がクレジットカード決済だということです。日本人はクレジットカードと現金を両方持ち歩いている方が多いですが、外国人の場合「クレジットカードしか持っていない」という方も多くいるのです。そんな方が来店された際、クレジットカードが利用できないと双方にとって機会損失となってしまいます。
外国人観光客の利用客を増やしたいのであれば、キャッシュレス決済手段の中でもクレジットカード決済の導入が必須といえます。
もちろんお客様側にもメリットがたくさん!
店舗側だけでなく、お客様側にも以下のようなメリットがあります。
・現金の持ち合わせがなくても商品を購入できる
・キャッシュレス決済を利用することで、各サービスのポイントやマイルなどを貯めることができてお得
・お釣りのやり取りなどがないので、会計時間を短縮できる
など、現金を使うよりもキャッシュレス決済を利用する方が便利でお得ですよね。
キャッシュレス決済、どうやって導入すればいいの?
いざキャッシュレス決済を導入しよう!となっても、キャッシュレス決済の中には様々な決済手段が存在しています。
・導入の流れがわからない…
と感じている方も多いのではないでしょうか。
ここからは、キャッシュレス決済を導入するまでの流れを詳しくご紹介していきます。
①自店舗に必要なキャッシュレス決済の種類を決める
まずは、ご自身の店舗に導入すべきキャッシュレス決済の種類を決めましょう。
・外国人観光客が多いからクレジットカード決済は必須
・10代~20代の若いお客様も多いから、QRコード決済も導入しよう
といったように、ご自身の店舗の利用者層から見て必要な決済手段を導入していくのがおすすめです。
よくわからない場合は、周辺の店舗で導入している決済手段を参考にするのもよいですし、次にご紹介する決済代行会社に相談してみるのもおすすめです。
②決済代行会社を選ぶ
導入したい決済手段が決まったら、該当の決済手段を導入できる決済代行会社を選びましょう。
決済代行会社とは、各種クレジットカード会社と加盟店の間に立ち、決済処理や売上金の入金などを代行してくれる会社のことです。
■決済代行会社を利用した場合の関係図
いろいろなキャッシュレス決済手段を導入する場合、決済代行会社を利用することで契約を一本化することができます。複数のカード会社や電子マネーを取り扱っている会社とそれぞれ契約を結んだり入金のやり取りをする必要がないので、必要最小限の手間でキャッシュレス決済を導入することができます。
また、決済代行会社と契約すれば売上明細は決済代行会社から発行されます。その際、多くの決済代行会社は、契約している複数の決済手段の明細をまとめて発行してくれます。
手数料がどの程度かかっているかなどのコストも一目で確認することができるので、売上金の管理も楽になりますよ。
③決済端末を選ぶ
決済代行会社によって取り扱っている決済端末は異なります。
・店舗のレジのスペース
・店舗の通信環境(Wi-Fiなのか、有線LANなのか)
・利用したいキャッシュレス決済手段
などの点を加味して、決済代行会社と相談しながら決済端末を選んでいきます。
④申し込み→審査結果を待つ
必要書類を記入・提出したら、決済代行会社側で審査を行います。
審査に通れば、決済端末を設置して開通です。キャッシュレス決済が利用できるようになります!
決済代行会社を選ぶポイントは?
日本には多くの決済代行会社が存在しています。比較検討するポイントがよくわからない…と感じてしまう方も多いと思います。
そんな方に向けて、決済代行会社を選ぶポイントをご紹介します。ご自身の店舗で優先するポイントを決めて、ぴったりな決済代行会社を選んでください。
キャッシュレス決済の導入に必要なコストをチェックしておこう
キャッシュレス決済を導入する際、できるだけ導入コストは抑えたいですよね。まず、導入の際に必要になるコストにはどのようなものがあるのかを知っておきましょう。
初期費用
初期費用は、決済代行のシステムを導入するためにかかる費用のことです。初期費用無料の場合もあれば、数万円の費用が必要な場合など金額は様々です。
端末代金
決済端末代金は、無料でレンタル可能な場合と、5万円~10万円程度で購入が必要な場合があります。
決済手数料
決済された金額に対してかかる手数料です。店舗の規模や業種にもよりますが、3.5~7%ほどの手数料が設定される場合が多いです。
月額費用
決済手数料とは別に、月々で支払うシステム利用料です。無料の場合もありますが、3,000円~8,000円ほどの月額費用を設けている決済代行会社が多いです。
決済手数料で選ぶ
まずは、決済手数料が低い決済代行会社を選ぶことが一番重要です。
キャッシュレス決済の決済金額が増えれば増えるほど、決済手数料も増えていきます。お店の売上が伸びていったとき、決済手数料が高いとどんどん経営を圧迫していってしまいますよね。そのため、決済手数料の低さは最重要視すべきポイントです。
初期費用と固定費で選ぶ
初期費用や端末料金、月額費用もできるだけ抑えたいですよね。
例えば、
【端末代】39,800円
【月額費用】3,300円
の決済代行会社を選んだ場合、12か月利用すると決済手数料以外に【109,400円】のコストがかかります。
初期費用や端末費用、固定費が無料な決済代行会社も多くありますので、できるだけ無料の業者を選ぶのがおすすめです。
キャッシュレス決済導入時に使える補助金はあるの?
キャッシュレス決済を導入する際にやはり気になるのが初期費用ですよね。初期費用を補助金で賄いたい!とお考えの方も多いと思います。
そこで、補助金を利用するメリット・デメリットと、キャッシュレス決済導入に利用できる補助金をご紹介します。
補助金を利用するメリット
補助金を利用するメリットは、何といっても導入費用や端末代金を補助金で賄えることです。
開業初期であれば特にほかに資金を使いたい場所があると思いますので、キャッシュレス決済をコストをかけずに導入したい!という方にはおすすめです。
補助金を利用するデメリット
申請に労力と時間がかかる
補助金の申請を行うには、複数の書類を作成しなければいけなかったり、必要書類を集めたりと何かと労力がかかります。
役所や商工会議所の窓口に提出しに行ったりするのも大変ですよね。
また、申請を行ってから審査結果が出るまでに3か月以上かかる制度などもあり、余裕をもって申請しないと開業時に利用しようとしても開業日に間に合わない…という可能性があります。
自身での支払いが済んでいないと補助金が支払われない制度もある
キャッシュレス決済サービスへの申込みや支払いが完了していないと申請できない制度もあります。(キャッシュレス決済導入補助金など)
補助金をあてにして申込み・支払いをしたはいいものの、補助金が支払われるのが先になってしまったり、申請が通らなかった…ということも起こりえるので注意が必要です。
キャッシュレス決済の初期費用を抑えるためには、手間やリスクもある補助金を利用するよりも、はじめから初期費用がかからない決済代行会社を利用するという選択肢もおすすめです。
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【2024年最新版】キャッシュレス決済導入で利用できる補助金4選をご紹介
ここからは、キャッシュレス決済導入時に利用できる補助金・助成金をご紹介します。制度について詳しく知りたい方は、補助金・助成金の公式HPをご確認ください。
キャッシュレス決済導入補助金
キャッシュレス導入補助金は、キャッシュレス決済端末導入に必要な経費を補助してくれる補助金です。
例:令和6年度茨木市キャッシュレス決済導入支援事業補助金の場合
対象者 | ・茨木市内に事業所を有し、かつ専ら市内で 事業活動を行っていること ・申請する時点で創業していること ・茨木市内で事業継続の意思があること ・市税を滞納していないこと、又は滞納解消に取り組んでいること など |
申請期間 | 令和6年4月15日(月)~令和7年3月14日(金) |
補助対象経費 | 【決済端末】 ・据置型端末(レジ周辺に据え置くもの) ・モバイル型端末(持ち運びできるもの) ・モバイル決済端末(有線・無線で汎用端末に接続して使用するもの) ・必要なソフトウェア の購入・設定経費 【レジスタ】 ・レジスタ本体 ・必要なソフトウェア ・接続ケーブル(決済端末との接続に使用するもの) の購入・設定経費 【付属品】 ・バーコードリーダー ・ディスプレイ(決済価格表示用) ・レシートプリンター ・設置に必要な金具等 の購入経費 |
補助金額 | 補助対象経費(税抜き)の2分の1以内 1事業者あたり上限7万5千円 |
申請方法 | 対象物品の購入を行い、支払いをしてからの事後申請 【必要書類】 ①交付申請書 ②交付明細書 ③誓約書 ④交付申請を行う品目の領収書・レシートの写し ⑤補助金交付申請を行う品目がキャッシュレス決済に 用いられていることがわかる、使用状況を確認できる写真 ⑥市内事業所の所在地を確認できる書類の写し |
大阪府茨木市のほかにも、秋田県潟上市、千葉県君津市等で実施されています。気になる方はご自身の事業所のある自治体のHPなどでチェックしてみましょう。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートすることを目的とした制度です。
対象者 | 中小企業 (飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、 保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象) |
申請期間 | 2024年2月16日(金)~ 終了時期は後日案内予定 |
補助対象経費 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料、 導入関連費、ハードウェア購入費 |
補助金額 | ・補助率1/2以内 ・最大450万円(申請内容により異なる) |
申請方法 | ①ITツールの選択等、事前準備 ②交付申請 ③補助事業の実施 ④事業実績報告 ⑤補助金交付手続き ⑥事業実施効果報告 |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が自社の経営を見直し、自らが持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や生産性向上の取組を支援する制度です。
こちらの補助金は要件を満たした方が全て補助されるわけではなく、申請内容を審査し、評価の高い順に採択者が決まるので、注意が必要です。
対象者 | 下記に該当する法人・個人事業・ 特定非営利活動法人 ▼常時使用する従業員人数 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):5人以下 宿泊業・娯楽業:20人以下 製造業その他:20人以下 など |
申請期間 | 随時実施(詳細はHPをご確認ください) |
補助対象経費 | ・機械装置等費:補助事業の遂行に 必要な製造装置の購入等 ・借料:機器・設備等のリース・レンタル料 (所有権移転を伴わないもの) |
補助金額 | 最大50万円~200万円(申請内容により異なる) |
申請方法 | ①申請手続き ②審査後、採択・交付決定 ③補助事業の実施 ④実績報告書の提出 ⑤確定検査・補助金額の確定 ⑥補助金の請求 ⑦補助金の入金 ⑧事業効果報告 |
業務改善助成金
設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うことで生産性を向上し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成する助成金です。
対象者 | ・中小企業 ・小規模事業者であること ・事業場内最低賃金と地域別最低賃金の 差額が50円以内であること ・解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと など |
申請期間 | 随時実施(詳細はHPをご確認ください) |
補助対象経費 | 生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等 |
補助金額 | 最大30万円~600万円 (賃上げ金額、労働者数により異なる) |
申請方法 | ①申請手続き ②審査後、採択・交付決定 ③計画に基づき、設備投資と 事業場内最低賃金引上げの実施 ④③の完了後、事業実績報告書・支給申請書を提出 ⑤審査 ⑥助成金の受領 など |
まとめ
本記事では、キャッシュレス決済の種類や導入メリット、導入時の決済代行会社の選び方、導入時に利用できる補助金をご紹介しました。
まだキャッシュレス決済を導入していない方も、キャッシュレス決済手段を増やしたい方も、この記事を読んでキャッシュレス決済の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
補助金についてもご紹介しましたが、見ていただけるとわかるように補助金の申請にはかなりの手間と労力、時間がかかります。
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